
SNS上での誹謗中傷に標的にされた若手お笑い芸人の苦悶と反撃を描く長編。ハッシュタグ付きのタイトルそのものが、現代の私刑が起動する瞬間を象徴している。カバーは淡いアイボリーを地に、線描のみで描かれたパーカー姿の人物がスマートフォンを見下ろす構図。タイトル文字はうっすらと大きく重ね、英字表記が小さく散る。足元のスニーカーと帯のみに差し込まれた鮮烈な蛍光イエローが、画面の静けさを破って通知のように光る。匿名の声が個人を侵食していく不穏さを、抑えた線と一点の蛍光で可視化している。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論