文学・評論
水際のメメント きたまち建築事務所のリフォームカルテ
和久井清水
札幌の建築設計事務所を舞台に、二人の建築士と一匹の黒猫が、依頼人それぞれの「喪失」と向き合いながら家のリフォームを通して心の痛みを癒していく連作ミステリー。表紙は淡いグリーンの窓辺を背景に、手前の青年と奥でスケッチを取る青年、赤いリボンを首に巻いた黒猫を柔らかな線と水彩のにじみで描いたイラスト。タイトルは黒の明朝に水色のかすれを重ね、書名そのものに「水際」の揺らぎを宿す。人物のまなざしと植物の緑が、再生の物語をやさしく予告している。