
短編の名手が描く、女性たちの心の揺らぎや関係の歪みを掬い取る一冊。タイトルが示す「均衡を欠いた」感覚が、各篇に静かに通底する。表紙はくすんだ緑の地に、目を閉じて横たわる女性のイラストを上部に大きく配する。水玉の下着とリボン、ショートヘアの赤茶、画面外へ伸びる片脚——線も色も最小限ながら、安らぎとも不穏ともつかぬ姿勢が目を引く。余白を広く残し、縦組みの細い書名と著者名を中央に据えた構成が、横たわる身体の傾きと響き合い、タイトルが孕む不安定さを誌面そのものに重ねている。

著酒井順子
装丁大久保明子
装画小幡彩貴
文藝春秋 / 2022年
文学・評論