
架空の街「がまくら市」を舞台に、5人の作家が日常の謎を持ち寄ったミステリ・アンソロジー。少女たちが歩く何気ない街角の向こうに、ふと立ち上がる不穏や驚きを描く。表紙はくすんだ青緑の路地に、夕焼けのピンクが滲む空を重ねたイラスト。電線が縦横に走り、奥には黄色く灯る看板や古びた家屋。手前には制服姿の二人の少女が背を向けて佇み、白抜きのタイトル文字が画面右上を大きく占める。下端の黄色い帯が、絵全体の不穏さを軽やかに引き締めている。日常と異界の境目をそのまま絵にしたような一冊。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論