
雪の女王」をはじめとするアンデルセン童話を収めた一冊。残酷さと祈り、寒さの中の小さな勇気が同居する物語群が、平易な訳で並ぶ。表紙は雪をかぶった樅の木立を左右に配し、中央にアーチ状の白い余白を抜いて、奥に氷の城と、トナカイに乗って駆ける赤いマフラーの少女を小さく描く。頂には冠を戴いた女王の影が淡く立ち、枝先には黒いカササギが二羽。水彩のにじみと白の粒子が、寒気と童話の手触りを同時に立ち上げる。淡いブルーの題字が、物語の静けさをそのまま額装している。
著増田忠則
装丁國枝達也
装画小山義人
双葉社 / 2023年
文学・評論