
詩歌を探偵のように追いかける——フラヌール(遊歩者)を主題に据えた散歩小説。日常のなかに潜む詩の気配を、軽やかな足取りで拾い集めていく一冊。表紙は薄緑のカルトゥーシュの中に、向かい合う二羽の鳥と積み上げられた本、絡みあう草葉のシルエットを左右対称に配し、上部には黒い帳が舞台幕のように垂れる。フランス語の副題が控えめに添えられた構図は、見開きをひとつの小さな劇に見立てているかのよう。静謐な象徴性が、散策と詩との出会いを予感させる装いに仕上がっている。

著杉田淳子、武藤正人
装丁野村浩
装画野村浩
河出書房新社 / 2020年
文学・評論