
抗うつ剤セロトニン系の薬を服用する中年男性の独白を通して、現代の倦怠と愛の不在を描いたウエルベックの長編小説。表紙には厚塗りの油彩で描かれた緑の顔がある。粗い筆致で盛り上げられた絵具が頬や額に光を反射させ、目元は青、唇は鈍い黄、目尻には橙が差し込まれて、不穏な笑みのような表情を浮かべる。タイトルは白の明朝で大きく組まれ、絵の生々しい物質感と静かに対峙する。化学物質と感情の境を彷徨う物語が、塗膜の凹凸そのものに滲んでいる。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論