
無人カメラという受動的な機械に、夜の森の住人たちの素顔を語らせる写真と対話の記録。撮影者の不在を逆手にとって、動物たちの「決定的瞬間」を辛抱強く待ち受けた仕事の集成である。表紙は、深い藍色の地に雪をかぶった針葉樹の一枚を抱き、白い斜面に佇む山吹色のキツネを画面中央へ静かに置く。タイトルは白い明朝で大きく、上部に小さく欧文表記を添えて余白を保つ。闇と雪、そして一点の暖色——人が立ち入らない時間にだけ立ち上がる気配を、装丁そのものが息を潜めて差し出している。
著岸本章
装丁吉岡秀典+佐藤翔子+平良佳南子
彰国社 / 2024年
アート・建築・デザイン