
もじゃもじゃの巻き毛を持つ少女が、赤いTシャツ姿でミルクパックを抱えて立つ表紙。頭の上には小さなひよこが四羽ちょこんと並んでいる。日々のささやかな違和感やユーモアを掬う短編に寄り添うような、軽やかな一冊である。装画はフラットな面と素朴な質感を持ち、巻き毛は黒い線でくるくると渦を描いて文字通り「もじゃもじゃ」と化す。タイトルもまた手描き風のひらがなで添えられ、絵と書体が同じ呼吸で並ぶ。視線を奪う赤と、白地の余白の間で、絵そのものが題名を語っている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論