
韓国系アメリカ人のミュージシャンが、母を亡くした喪失と、食を通じて手繰り寄せる記憶をつづったメモワール。淡い黄の地に、黄色い花柄のグリーンのワンピースをまとった女性のイラストが立ち、その足元には赤いHマートのカウンターが小さく描かれる。横顔は静かに上を向き、英文タイトルのオレンジの文字は人物の体に隠れて一部が欠ける構図で、輪郭線の少し震えた手描きの筆致が温度を残す。柔らかな色面と細い線が、痛みと甘やかさを同時にすくい上げている。
著やまぐちヨウジ、山口謠司
装丁APRON(植草可純+前田歩来)
集英社 (発売) / 2021年
文学・評論