
夜の闇に向き合う若者たちを描いた長編小説。後ろ姿の五人が、月明かりの差す水辺へと並んで立っている。深い藍と群青で塗り重ねられた夜空には渦巻く筆致が残り、画面中央には淡くにじむ月光が水面に落ちる。手描き感のある絵画的タッチで、人物の輪郭はあえてゆるく溶け、白い余白に細く伸びるタイトル文字と縦組みの著者名が静かに添えられる。揺らぐ夜と、こちらに背を向けて並ぶ者たちの距離が、題に呼応している。

著PerrinValérie、高野優、三本松里佳
装丁鈴木久美
装画agoera
早川書房 / 2023年
文学・評論