
小説誌「yomyom」2015年春号。連作短篇や読みきりを束ね、季節ごとに編まれる文芸誌の一冊である。モノクロームで沈めた都市の交差点に、二人の人物がイラストで重ねられ、桜の花びららしき淡いピンクが画面全体を横切る。「yomyom」のロゴと号数、寄稿者名はあざやかなピンクの活字で、写真の暗部に対して鋭いコントラストを生んでいる。記号化された人物像と実景の街並みを重ねる構図は、現実の街角に物語の輪郭がふっと差し込むような読書体験そのものを思わせる。
著焦田シューマイ
装丁川谷康久
新潮社 / 2025年
文学・評論