
別れの予感を抱きながら過ごす時間を描いた恋愛小説。英題に込められた「もう会えないかもしれない」という余韻が、本書の温度を静かに示している。表紙は水彩で描かれたテラスの一場面。城を望む川辺のカフェで向かい合う二人と、その周囲に細かく散る光の粒。筆書きの青いタイトルが右上から斜めに流れ、画面に風のような動きをもたらす。黒のゴシックで添えられた著者名と小さな英題が、絵の柔らかさを引き締め、過ぎ去る瞬間を写真のように留めている。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論