
動物園の夜勤を担う人間と、彼らの前で素のままに振る舞う動物たちの交流を描いた連作。閉園後にだけ立ち現れる、もうひとつの動物園の時間が綴られる。深い紺地に星と細い月を散らし、フクロウや微笑むライオン、箒を手にした飼育員の姿をやわらかな線画で配したカバー。タイトルは白の手描き文字で縦に流れ、夜気のしんとした静けさと寓話的なあたたかさが同居する。眠らない夜にだけ開かれる、ささやかで不思議な対話の気配が表紙からそのまま立ちのぼってくる一冊。
著焦田シューマイ
装丁川谷康久
新潮社 / 2025年
文学・評論