
食べることで悲しみや過去をいったん忘れる女性を描く連作の第三巻。今回は海辺らしき風景を背に、大きく口を開けてハンバーガーへかぶりつく瞬間が切り取られている。表紙は青い縞のシャツ、頬に差した淡いピンク、奥に広がる海と空の青、緑の草地が爽やかな対比をつくり、繊細な線で描き込まれた髪や指先、バンズの照りが手描きの温度を伝える。タイトル文字はイラストの背面に大きく回り込み、人物と料理を遮らないことで「食べる」という行為そのものを画面の主役に据えている。
著焦田シューマイ
装丁川谷康久
新潮社 / 2025年
文学・評論