
ルイスと不思議の時計シリーズ第三巻。少年ルイスの友人ローズ・リタが、夏休みに不思議な指輪を手にした老婦人の旅へ同行し、魔術めいた出来事に巻き込まれていく児童向けファンタジー。表紙は深い闇に橙の炎が立ち上る縦長の構図で、紫の服を着た女性と眼鏡の少女、その下方から伸びる黒い手のシルエットが緊迫した場面を切り取る。光沢を抑えた塗りと手描き感のあるタイトル文字、画面下に小さく置かれた英題のタイポグラフィが、児童書らしい親しみと怪奇譚の翳りを同居させている。物語の不穏さと冒険のときめきを、一枚の炎のなかに凝縮した装丁。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論