
地球の裏側まで穴を掘って到達しようとする男の、途方もない計画の顛末を描く長篇。荒唐無稽な企てが現実の風景と地続きに語られるとき、人の営みの可笑しさと寂しさが浮かび上がる。表紙は明るい線描のイラストレーション。地球儀の上に立つ作業着姿の男、背後に広がる工事現場の鉄塔、画面上部からは食卓の俯瞰がのぞき、箸が小さな地球をつまみ上げる。複数のスケールが一枚に同居する構図が、足元の日常から地殻の彼方までを行き来する物語の眩暈をそのまま絵に置き換えている。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論