
パトリシア・ハイスミスによるリプリー・シリーズ最終巻。優雅な殺人者トム・リプリーが過去の死者の影に再び付きまとわれる、心理サスペンスの完成形。カバーは深い臙脂と漆黒、そして濃紫の面で構成され、横顔の男と受話器を握る手のシルエットが幾何学的に切り分けられている。タイトルロゴは細い白の筆記体と力強い和文ゴシックを重ね、洋題「Ripley Under Water」が水面のように静かに沈む。色面の鋭利な分割と曲線のコントラストが、紳士的な仮面の下でうごめく不穏を、抑えた色調で言い当てている。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論