
視覚障害をもつ著者が、長く「奇跡の人」の象徴として語られてきたヘレン・ケラーに向け、怒りと愛をないまぜにした架空の手紙を綴っていくノンフィクション。白地のカバーには、二人の女性が小さな丸テーブルを挟んで向き合い、花瓶や猫、手紙を運ぶ蝶までを線で軽やかに描いたイラストが置かれ、背景の水色帯と相まって、対話の場に静かな空気が満ちる。タイポグラフィは細く控えめに添えられ、重いテーマを語る本書を、ひらかれた会話の机として差し出している。
装丁名久井直子
フィルムアート社 / 2019年
ノンフィクション