
第65回群像新人文学賞を受賞した著者のデビュー作。多摩川の河川敷で五歳の「わたし」が見たひと夏の出来事を、点滅する光のような感覚で綴る短篇。表紙は水面の反射か逆光のレンズフレアを思わせる青緑の円形写真を中央に大きく置き、周囲には淡い円弧が幾重にも重なって余韻を作る。タイトルは明朝体で円の外に静かに刻まれ、ローマ字表記が上部に細く添えられる。光の粒が明滅する写真と、抑えた書体の佇まいが、瞬きの間にだけ現れる世界の手触りを静かに差し出している。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論