
職場の女性たちのすれ違いと小さな悪意を描き、誰かにとって自分が「どうでもいい人」になる瞬間を見つめた連作短編。カバーは畳の和室に倒れ込む人物の写真を九十度回転させて配し、白いシャツと黒いスカート、こぼれた白い粉のような跡が、上下の方向感覚を失わせる。タイトルは太い明朝体で大きく置かれ、写真の隙間を縫うように分かち書きされる。視点の傾きが、誰もが誰かにとって取るに足らない存在になりうるという居心地の悪さを、静かに視覚化している。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論