
大正期、化粧品事業に身を投じた人々の姿を描く長編小説。表紙はアール・ヌーヴォー調の額装枠に「THE KING OF COSMETICS」のアーチ文字を掲げ、中央のハート形の中に二人の女性像を配する。スーツ姿の青年と着物の女性、足元に並ぶ香水瓶や白粉容器、銀杏や貝殻の意匠が、コーラルレッドとミントグリーンの二色刷り風に整えられている。古き良き広告ポスターを思わせる左右対称の構図が、化粧品という美の産業が立ち上がる時代の華やぎを画面に閉じ込めている。
著柊坂明日子
装丁西村弘美
装画トミイマサコ
小学館 / 2021年
文学・評論