
初の自伝的小説集。少年時代を過ごした愛媛・新居浜の家、劇団を立ち上げた大学講堂の裏──人生に刻まれた〈場所〉をめぐる物語が収められている。カバーには夏草に覆われた山の斜面と赤い屋根の小屋、電柱、遠くにぽつんと立つ小さな人影が、油彩を思わせる厚みのある筆致で描かれる。その上から白い明朝体の縦組タイトルが大きく重なり、土地そのものが書名を支える一枚絵となる。記憶の風景と文字が、静かに溶け合っている。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論