
お金にまつわる機微を、七人の書き手が短篇で持ち寄ったアンソロジー。給料、貯金、ささやかな散財──日常のなかで誰もが抱える金銭感覚の揺らぎが、それぞれの筆致で立ち上がる。表紙はあたたかなオレンジを基調に、巨大化した一万円札とショッピングバッグの上を小さな人々が歩き回るイラストレーション。手描きの素朴な人物と、買い物袋・小銭・札の質感を淡く描き分けた構図が、お金という主題を重くしすぎず、どこか俯瞰した寓話の手ざわりへと変えている。生活の地続きにある金銭の物語を、軽やかな視点から差し出す一冊。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論