
作家一家が北海道・トムラウシで過ごした一年の暮らしを綴ったエッセイ。山あいの自然と人の営みが、静かなユーモアとともに記録されていく。白い余白を大きくとった表紙には、キツネやリス、小鳥、魚、シダや木の実、名もなき花々が水彩のタッチで円を描くように配される。タイトルは細い筆致の手書き風で、土の色に近いブラウンが森の気配を運ぶ。生き物と植物がひとつの庭に集う図像は、神々の遊び場としての土地の豊かさを、そのまま紙の上に呼び込んでいる。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論