
二人の作家が手紙を交わし合うように言葉を綴った一冊。タイトルは投函のひと呼吸前、宛先を確かめ切手を貼るだけになった静かな間合いを思わせる。表紙には翼を広げ、小さな人をそっと抱きかかえる木彫りの像が一点だけ置かれ、生成りの余白に木目の温度と彫り跡がそのまま立ち上がる。題字は細い明朝で像のかたわらを縦に流れ、文字と彫像が同じ静けさを分け合う。書簡という形式の、相手へ届くまでの余白そのものを装丁が引き受けている。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論