
日本に憑かれたチェコの少女が、プラハと渋谷の二つの街で意識を分裂させていく長編小説。赤く染められたシブヤの夜景写真の上に、白い線で起こされた長い髪の少女像が浮かび、上空は黒く沈んで無数の小さな星が散る。足元には雑踏の群像写真が帯のように敷かれ、現実の街と幻影が一枚に重ねられている。白抜きの縦書きタイトルと、画面の縁に薄く走る原題のラテン文字。写真と線画、都市と異国、覚醒と夢のあわいに置かれた構図が、二重化した主人公の内面をそのまま視覚化している。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論