
日露戦争後のシベリアを舞台にした冒険譚の第三巻。極寒の地に身を置く若者たちの邂逅と緊張が、静かな構図の中に立ち上がる。古びた紙のような地色に細密な唐草の罫線をめぐらせ、戦前の翻訳叢書を思わせる装画額装の体裁が採られている。床に座す二人の人物、傍らに置かれた小銃や弾帯、淡い緑とくすんだ青の衣が抑えた色調で配され、タイトルは縦組みの明朝で静謐に納まる。物語の遠い時代性と、表紙が纏うレトロな書物の佇まいが、そのまま手触りとして繋がっている。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論