
戦争の傷を抱えた地球と火星を行き来する若者たちを描く長編SF。「折りたたみ北京」の著者によるヒューゴー賞作家の長編で、両惑星のはざまでアイデンティティを揺らす放浪者たちの群像を、抒情的な筆致で綴る。カバーは夜空に浮かぶ青い地球と赤茶けた火星地表を縦に配し、その上に白い細線で描かれた渦状の軌道や粒子の軌跡が幾重にも重なる。明朝体で大きく組まれた漢字四文字のタイトルが画面中央を貫き、傍らには小さくルビが添えられている。宇宙の闇と惑星の質感、緻密な線描が、二つの星の間を漂う物語の浮遊感を静かに引き寄せる。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論