
連句の会「ひとつばたご」を舞台にした連作短編集の一篇。言葉を紡ぐ人々の小さな揺らぎと再生を、季節の移ろいと重ねて描く文芸シリーズの一冊。淡い若葉色を地にして、翼を広げた鳥、白い実をつけた枝、針葉樹の葉、開かれた本、そして横たわる人物が画面いっぱいに散りばめられる。緻密な線と落ち着いた彩色で物語の断片を寄せ集めたような構図に、白縁の枠で囲んだ縦組みのタイトルが静かに収まる。森の奥で言葉と出会い直すような、夢と現の境を歩く一冊。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論