
郊外の街に突如あらわれたペンギンたちの謎を、小学四年生の少年が「お姉さん」とともに研究していく長編小説。少年の知的好奇心と淡い憧れ、夏休みの郷愁が交差する物語として知られる。カバーは淡いクリーム地に、市松状の赤いブロックの上で少年とお姉さん、そして一羽のペンギンが向き合う構図。柔らかな線とくすんだ朱・ターコイズの配色が水彩のような透明感をたたえ、手にした飲み物から立ち上る泡が画面中央にひそやかな魔法を生む。タイトルは細身の明朝で控えめに置かれ、夏の昼下がりに差し込む不思議の手触りを、装画と余白がそのまま掬い上げている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論