
五人組の若者たちが小説家を誘拐し、五分の一ずつ身代金を奪い合う――そんな疾走感あるクライムノベル。表紙は鮮烈なレモンイエローを地に、モノクロのペン画で描かれた登場人物たちが折り重なるように配置される。包帯を巻いた腕、ナースキャップ、車椅子、舞い散る紙幣といったモチーフが画面に散らばり、不穏さとポップさが同居する。タイトルは水色のサンセリフ風和文で大胆に組まれ、「1/5」の分数表記が物語の構造そのものを示す。黄と黒と水色の三色だけで、騒がしい群像劇の体温を一枚に閉じ込めている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論