
著者の半自伝的物語として、雨の街を生き抜く若者たちの絆を描いた一作。表紙では灰青のグラデーションを背景に、赤一色で刷られたピラニアと立ち尽くす青年が対峙する。少年漫画的なペン画の質感に、点描状のドットや飛沫が重ねられ、湿った街路と血の匂いを同時に立ち上げる。タイトルは画面を斜めに横切る巨大な白抜き文字で配され、獰猛な魚と無防備な人物の構図を裂くように走る。赤と青の二色が、暴力と孤独、そして寄り添う者たちの体温を一枚に閉じ込めている。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論