
インタビュアーとして仕事に向き合う原之内菊子を主人公に、取材対象たちの人生模様と本人の鬱屈を描く連作短編。白を基調にしたカバーには、カセットテープ、カメラ、メモ帳、空の鳥かごといった取材道具と、登場人物らしき三人の姿がコラージュ風に配置され、画面全体に赤いリボン状の曲線が縦横に流れて視線を絡め取る。タイトルは黒の明朝で右上から大きく組まれ、その背後に薄く英文タイトルが透ける重ね組み。賑やかな図像と滲むような線の絡まりが、軽やかな職業小説の表情と、心の奥にわだかまる「憂鬱」の手触りを同時に立ち上げている。
著焦田シューマイ
装丁川谷康久
新潮社 / 2025年
文学・評論