
眠れぬ夜にそっと差し出される、八つの怪異と不穏を編んだアンソロジー。薄暗い室内に立つ少女が中央に据えられ、白いワンピースの裾にはピンクの花を握る手が覗く。背後の壁には小さな額装、足元には長く伸びる影。「あなたの後ろにいるだれか」のタイトルは黒い太い手書き文字で画面を大きく横切り、少女のすぐ脇に「眠れぬ夜の八つの物語」が円窓のように配される。淡い藤色と灰青のグラデーションが画面全体を覆い、視線が誰にも向けられないまま宙に留まる構図が、振り向きたくない夜の感触をそのまま閉じ込めている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論