
夫である小説家に書かれ続けてきた妻・琉生が、自らの体から森を生み出していく物語。日常から逸脱していく身体と、それを見つめる夫の視線を通して、書くこと/書かれることをめぐる愛のかたちを問う長編。くすんだ青緑を背景に、白い花や色とりどりの草花、ふくろうや小動物が緻密な筆致で描き分けられ、画面の下方には繭のように身を寄せる白い生き物がひそむ。タイトルは細く伸びやかな手書き文字で植生のあいだに溶け込み、生い茂る異界と、そこに棲みつく女の輪郭をひとつに結びつけている。

著エブリスタ
装丁太田規介
装画くまおり純
河出書房新社 / 2021年
文学・評論