
2029年から1979年へと時を遡り、ある家族に眠る秘密の在処を辿る逆クロニクル・サスペンス。誰かと共にあり続けるために重ねられた選択の重みが、世代を越えて問い直されてゆく。漆黒の地に、男女らしき二人を収めた小さな額が二度並び、ゆるやかな曲線が両者の間を縫う。タイトルは柔らかな筆致の白で置かれ、背後に淡い水色の影がかすかに揺れる。反復される像と、消え入りそうな書名が、泡のように立ち現れては消える記憶の手触りそのものを差し出している。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論