
10年ぶりに返却された一冊の本をきっかけに、過去の謎と向き合う高校生たちを描いた青春小説。表紙では、書架そのものが舟の形に組み上がり、淡い水色の空に向かって滑り出していく構図が広がる。制服姿の少女と少年がその甲板に佇み、頁を広げた本が鳥のように宙を舞う。線の細いイラストレーションと余白の多いレイアウト、手書き風の白い題字が、物語の柔らかな浮遊感を伝える。本という箱舟に乗せて、過ぎた時間と未来を運んでいくような装いである。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論