
余命を宣告された郵便配達員の青年のもとに悪魔が現れ、世界から何かをひとつ消すたびに一日の命を与えると囁く。失うことで初めて像を結ぶ日常を、静かに問い直していく物語。表紙は霞んだ青灰の空気のなか、暗い稜線の影からこちらを窺うように小さく顔を覗かせる子猫の写真。タイトルは細い罫線で囲まれた小ぶりの明朝で左上に配され、広く取られた余白が、いつか消えてしまうかもしれないものの気配を静かに保っている。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論