
サッカー少女と小説家の叔父が、利根川沿いに鹿島アントラーズの本拠地を目指して歩く。書くこと、蹴ること、見ることを互いの「練習」として旅は進む。表紙の中央には淡いクリーム色の地に、青や緑、薄紅のタッチで川辺の風景を思わせる水彩画が浮かぶ。筆致は風や水の流れのようにほどけ、余白に呼吸を残す。明朝体の題字と著者名は静かに上下を支え、軽やかな帯のコピーが旅の声を引き受ける。歩くことのリズムと、移ろう景色のままならなさが、一冊の佇まいに収まっている。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論