
いとうせいこうによる長編小説。男女の関係や感情の機微を、軽やかな語り口と独特の構造で描き出した一冊。表紙は色鉛筆のような柔らかな線で、横並びに腰かけた二人の人物像が淡い水色と黄のタッチで素描されている。輪郭だけを残した簡素な描写と、余白の多い白地のレイアウトが、関係の距離感や曖昧さをそのまま視覚に移している。朱色の和文タイトルが上から斜めに置かれ、下部に小さく英題と著者名のローマ字。線の頼りなさと色の透けが、「我々」という曖昧な複数の輪郭を、装画と書名の双方から穏やかに立ち上げている。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論