
歌人にして小説家である著者による初のエッセイ集。ロリィタ、お姫様、少年装、幻獣のような髪——装うことを通じて、まちがったこの世界で自分の羽衣をようやく取り戻していく軌跡が綴られる。表紙には、小さな角と銀の長い髪をなびかせる少女の背後に、淡いピンクの竜の翼と薔薇が広がる。水彩のにじみとパステルが少女と幻獣を地続きに溶かし、グレーの帯に置かれた細い明朝の縦組が静かに支える。装いがやがて翼となるその瞬間を、一枚の絵が凝縮している。

著森鴎外,福沢諭吉
装丁鈴木千佳子
左右社 / 2017年
文学・評論