
都市伝説としても語られる「小さいおじさん」をめぐる、日常と幻想が混ざり合う一冊。表紙では、髷を結い和装をまとった小さな男が大きな筆を抱え、虎縞の猫にまたがって草地を駆ける姿が、手描きの線とやわらかな水彩で描かれている。背景にはパステル色の家並み、足元にはりんごやパン、たこ、大根といった小道具が散らばり、絵巻物のようなにぎやかさを生む。タイトルは白い枠に赤い点線を添えてやさしく置かれ、絵と文字の親しみやすさが、見えるかもしれない不思議への入口を静かに開いている。
著焦田シューマイ
装丁川谷康久
新潮社 / 2025年
文学・評論