
真夏の京都、四畳半の下宿に転がり込んだ一台のタイムマシン。ひと夏の冒険と若者たちの混沌を、軽やかな筆致で描いたSF青春譚。淡いミントグリーンの地に、丸い覗き穴のような円構図が据えられ、その中には銭湯の暖簾、虹、ブラウン管、本、ぬいぐるみといった四畳半の雑多な情景が線画で詰め込まれている。手前にはフィルムカメラを構える人物と紫の鞄、書籍、携帯電話。タイトル文字は縦組みでまっすぐ伸び、画面の賑やかさを引き締めている。円の中に閉じ込められた小さな宇宙が、夏の一日に流れ込んだ時間の歪みを静かに示している。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論