
30代を迎えた男女がそれぞれに抱える迷いと関係の揺らぎを描く連作の第2巻。淡いピンクを地に、左に伏し目がちな男性、右にこちらを見据える女性のバストアップを縦割りで配し、二人の視線が交わらないことで距離感そのものを構図化している。中央には大ぶりの明朝体で書名を縦組みし、その周囲に小さな本文断片を散らすことで、表紙そのものが小説の一頁のような佇まいを帯びる。鉛筆と淡彩による線の柔らかさが、登場人物たちの心許なさを静かに支えている。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論