
行き詰まった暮らしから抜け出し、ハチミツを扱う小さな店で働きはじめる女性の物語。日々の食卓や仕事の手ざわりを通して、自分のかたちが少しずつ整い直されていく時間が綴られる。表紙にはクリーム色を地に、ふっくらと焼かれた二段のパンケーキへバターが溶け、琥珀色のハチミツが幾筋も流れ落ちる様子が手描き調で置かれる。タイトルは端に縦組みで整い、画面の余白は朝の光のように広い。甘さと静けさの均衡が、明日へ向かう小さな勇気の温度を伝えている。
著乾くるみ
装丁五十嵐徹
装画usi
角川春樹事務所 / 2015年
文学・評論