
江戸の俳諧師・宝井其角と絵師・英一蝶。元禄の文人たちが交わした友情と芸の応酬を描く時代小説。深い紺地に和文様を敷き詰めた表紙には、藤の花と楽器を手にする青年の姿が浮かび上がる。提灯の灯りに照らされた黄金の打掛、青の縞、朱の縁取り——多色の絹が闇に滲み、藤と笹の緑が舞台のように人物を取り囲む。タイトルは白の明朝体で右に大きく置かれ、画面全体が一幅の絵巻のような静けさを湛えている。色と匂、絵と句、ふたつの芸が交わる気配を装丁が先んじて告げる。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論