
気候変動による海面上昇が、アメリカ沿岸部の暮らしと風景をどう変えつつあるのか。ニューヨーク、フロイダ、ルイジアナ——具体的な土地を歩きながら「人新世」の現実を描くノンフィクション。カバーは、灰色がかった空の下、雨に煙る対岸の摩天楼と、波に洗われ傾きかけた木の杭の柵を写した一枚。上部に淡いグレーの帯を置き、その中に明朝体で大きく書名を据える構成が、騒がしさを抑えた報告の語り口を表す。静かな写真と禁欲的な活字組が、押し寄せる水位を見つめる本書の姿勢に重なる。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論