
メイン州の海辺の小さな町で、退職した元教師オリーヴの晩年を描く連作短編集の続編。人生の終盤に訪れる細やかな波紋を静かに掬いあげる一冊。断崖の上に立つ白い灯台と寄り添う家屋、層をなす岩肌、淡い水色の空と海を、輪郭のはっきりした絵画タッチで描く。和文タイトルは細身の明朝で穏やかに、英題は空と同じ淡いブルーで控えめに置かれる。風の通り道のような澄んだ余白が、孤独と他者の気配が静かに交差する物語の手触りを、表紙のまま差し出している。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論