
日常の風景に潜む違和感を、読み解いた瞬間に背筋が冷えるショートショート集。検索すれば話題に上る「意味が分かると怖い話」の系譜に連なり、答えに辿り着いた読者だけが震えるという仕掛けで構成されている。表紙には、淡い緑灰の空間に吊るされた幾つもの鳥籠と、その中央で椅子に腰掛ける長い髪の少女が描かれる。籠の中に鳥はなく、少女自身が籠に囲まれている構図が、無垢な絵柄に反して逃げ場のなさを示す。明朝体の縦組みタイトルを大きく配し、白い余白と赤い帯のコントラストで物語の温度差を予感させる一冊。

著蒼月海里
装丁太田規介
装画秋赤音
PHP研究所 / 2023年
文学・評論